「ヴィクトル・ブレッシェレ彫刻」

近代芸術とブラジル・インディオの伝統



プレッシェレ(1894〜1955)は、ブラジルを代表する芸術家の一人です。20世紀初頭の造形美術の黄金時代をパリに居住し、当時のヨーロッパ文化の洗礼を受けた近代主義者である現代彫刻家です。


その作品は、ヨーロッパ文化をベースに持っていますが、アマゾンのインディオ(原住民)の造形文化の影響を強く受けています。その特徴は、インディオのデコレーション・モチーフの組み込みや、滑らかな表面を持つ、造型パターンを取り入れた刻み方にあります。
   子供を抱く処女
    インティオ・ブロンズ

初期の習作「Monumento as Bandeiras(パンディラスの像)」にも、ブラジル人らしい容姿だけでなく、インディオ文化に使用される造型パターンが探り入れられていますが、インディオの影響を色濃く持つ作品のほとんどは、晩年の40年代の終りから50年代初めに造られており、その作品は、ブレツシェレのマラジョアーラ(時代)として知られています。

マラジョアーラとはブラジル北部、それもアマゾン河口にあるマラジョー島に由来する作品が数多く創られたのをさして言うもので、ポルトガルから植民者がブラジルに到着する以前のブラジル原住民(インディオ)部落の文化に同氏の視線が向けられ、その影響がブレシェレの作品に色濃く現れ始めるからです。
  インティオと魚・御影石
しかし、それは、インディオの宗教的情景、伝説、あるいは、インディオ・動物の習憤を思わせる彫刻とは関係なく、一目でテーマの分かる作品を創りました。作品は、幾何学的正確さにとらわれず、柔らかい曲線が強調され、古代の聖なる儀式を暗示しています。



人間と自然が対立しない文化の上に立つているのがブレシェレの作品で、世界の各文化は地球で一つにまとまり、石も動物も粘土も人間もすべて全体の一部だと言うことを語りかけています。
   インディオの頭・テラコッタ

資料提供:
ブラジル大使館



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水牛・ブロンズ